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投資用不動産 シミュレーション

不動産投資の収支を試算するときは、表面利回りだけで判断せず、購入条件、保有中の年間CF、売却時の手取りを分けて確認します。この記事では、不動産JPの現行CFシミュレーターに何を入力し、空室・金利・修繕・家賃の条件を変えて結果を比較するかを説明します。試算は将来の収益、融資承認、確定税額を保証しません。

まず物件資料と初期入力を揃える

不動産JPのCFシミュレーターの最初の画面には、物件価格、表面利回り、物件構造、築年数、建物面積を入力します。価格と賃料は販売資料・賃貸借契約・周辺募集状況で確かめ、構造・築年数・面積は登記や物件資料と照合してください。表面利回りは想定年間家賃を物件価格で割る入口の指標で、経費や借入返済後の手残りではありません。

「シミュレーションする」を押すと結果グラフと「条件を変更」が表示されます。結果画面では自己資金、金利、ローン期間、入居率、物件価格、建物価格、個人・法人、想定年間収入、家賃増減率を確認できます。固定資産税・都市計画税、管理費率、修繕費率、その他経費、所得・法人税率、大規模修繕の時期と額も実資料に合わせて見直します。購入時諸費用、借入額、減価償却費、年間経費、返済額などは表示される計算値であり、各欄が独立した自由入力とは限りません。

入力から比較までの5ステップ

以下の5ステップで、収入、現金支出、利回り、税務所得、リスクを順に整理します。入力がそろう範囲で試算し、不足する金額は0円とせず「算定不可」として残します。税引前CFを算出できても、税引後CFまで確定できるとは限りません。

Step1:想定年間収入と入居率を確かめる

満室想定の年間家賃と、空室等を反映した実質年間収入を分けます。結果画面の「想定年間収入」と「入居率」、必要に応じて「家賃増減率」を確認してください。近隣の募集賃料は参考値であり、契約済み賃料や将来の入金額を保証しません。以下の金額例は元記事の計算条件を引き継ぐ仮定で、特定物件やツールの実測結果ではありません。月8万円なら満室想定は8万円×12か月=96万円です。

Step2:現金支出と返済額を分ける

管理費・修繕費は結果画面では実質年間収入に対する率、固定資産税・都市計画税とその他経費は金額で確認します。保険料など個別の費用がどの欄に含まれるか整理し、同じ費用を二重に数えないでください。自己資金、金利、ローン期間を変えると借入・返済条件も変わります。融資契約の実条件がない段階の結果は概算です。

この例では満室で年間96万円を受け取り、管理費・修繕積立金18万円、賃貸管理手数料4.8万円、固定資産税・都市計画税8万円、火災保険料1万円を現金で支払うと仮定します。これらの運営支出は合計31.8万円です。実際の入金や支払額が異なる場合は置き換えます。

年間ローン返済は元金と利息を合わせて60万円という入力上の仮定です。借入額が不明なので、金利1.5%・35年だけから60万円を導いたものではありません。列挙した支出を控除した返済後税引前CFは、96-18-4.8-8-1-60=4.2万円です。追加修繕等は含まず、所得税等の影響もまだ引いていません。この4.2万円は税務上の不動産所得ではありません。

Step3:利回りとCFを区別する

表面利回りは年間想定家賃÷物件価格×100%です。ここで比較する運営支出控除後の利回りは、(年間実収入-通常の運営支出)÷(物件価格+購入時諸費用)×100%と定義します。前節の仮定なら分子は96-31.8=64.2万円です。分子にローン元利返済・減価償却費・所得税等を混ぜず、修繕積立金など何を運営支出に含めたかも明示します。物件価格と購入時諸費用が不明なので、この例の率は算定できません。これは現金支出に基づく比較指標であり、税務所得や返済後CFの利回りではありません。

当サイトの結果グラフでは、CF、実質年間収入、支出、累計CF、売却時累計CFを切り替えて確認できます。表面利回りや運営支出控除後の利回りを、グラフのCFと同じ値として扱わないでください。CFの基本的な計算順序はキャッシュフロー計算の基礎を参照し、本記事ではツールの入力と条件変更に絞ります。

Step4:税務所得と税引後CFを混同しない

個人の通常の国内賃貸では、税務上の不動産所得は総収入金額から必要経費を引いて計算します。区分すると、総収入金額-その年の必要経費となる運営費-必要経費となる借入利息-減価償却費(青色申告特別控除前)です。元金返済は必要経費ではありません。減価償却費は取得費用の配分で、計上時に同額の現金が出ていくものではありません。

管理組合への修繕積立金は、支払った現金と必要経費の算入時期を分けます。原則は実際の修繕等が完了した年の対応額ですが、支払義務がある、返還されない、将来の修繕等だけに使われる、長期修繕計画等による合理的な額である、という国税庁の条件を全て満たす場合には、支払期日の属する年の必要経費とする取扱いがあります。

前節の60万円の元利内訳、管理費と積立金の内訳・経費算入時期、建物の減価償却額などが不明なため、この例の不動産所得は算定できません。他所得や所得控除・税額控除も不明なので納税額も未確定です。所得税等を含む税引後CFは、返済後税引前CFからこの投資に伴う実際の税の支払への影響を反映して求めます。既に支出へ入れた固定資産税等や返済に含まれる利息を再度引かず、償却費も現金支出として引きません。

出典:国税庁 不動産所得 / 国税庁 減価償却のあらまし / 国税庁 マンションの修繕積立金

現行ツールの「所得・法人税率」は試算条件の入力です。個人の他の所得や控除、法人の個別事情を踏まえた確定税額を自動で決める欄ではありません。建物価格や償却費の初期計算も、取得資料、用途、耐用年数と照合します。土地は減価償却資産ではありません。

Step5:空室・金利・家賃・修繕の条件を変える

基準ケースを記録してから、入居率を下げる、金利を上げる、家賃増減率を下方に変える、大規模修繕の時期・額を変える、という順に一項目ずつ試します。次に複数条件が重なる年を確認します。家賃増減率は結果画面の年率設定であり、任意の年ごとの賃料を直接入力する独立欄ではありません。修繕額は見積書と建物状況に合わせてください。

収入、運営支出、借入返済、税務所得と税の支払を別々に確認します。入力不足の税額や税引後CFを推測で埋めず、必要な内訳をそろえてから計算しましょう。

結果グラフと売却時累計CFの読み方

ツールは計算や条件比較の作業を補助しますが、金利・減価償却・税をどこまで扱うかは製品と入力によって異なります。元利内訳、税務所得と現金CFの区分、適用年度、修繕積立金などの扱いを確認し、不足入力がある結果を確定税額として使わないでください。本記事では、紹介ツールが全ての税務計算を自動で正確に処理することを確認したものではありません。

グラフの年間CFと累計CFは保有中の収支を確認する系列です。「売却時累計CF」は売却金額、売却費用、売却時の税の概算、残存借入額、自己資金等を含む別の系列として読みます。ツールの算出方法表示では、固定資産税・都市計画税の初期値、売却費用、売却金額、売却時税率に簡易仮定があります。現実の見積もりや譲渡所得税額をそのまま示すものではありません。

売却時の手取りと所有期間を別に確認する

自己資金ベースの投資全体の現金収支は、初期自己資金支出をマイナスにし、保有中の返済後CFと、売却手取りを合わせて計算します。税引後で比較する場合は、保有中の税の支払への影響も各年へ含めます。

売却手取り=売却価格-売却費用-売却時の残債返済-売却に伴う税の影響。総収支=-初期自己資金支出+保有中の返済後税引後CF累計+売却手取りです。最終年CFに売却手取りを含めた場合は再度足しません。保有中の元金返済で残債が減る効果は売却時の残債に反映されるため、別の収益として追加しません。初期資金には頭金や購入時諸費用など、自己資金で支払ったものを集計します。

例えば保有中の返済後税引後CFが毎年20万円と仮定すれば、5年分は100万円です。ただし購入価格より300万円安く売れるという情報だけでは、初期自己資金・残債・売却費用・税が不足しており、総損益は算定できません。100万円は保有中CFの累計で、投資全体の利益ではありません。

個人の土地建物の譲渡では、長期・短期は譲渡年1月1日の所有期間が5年を超えるかで判定します。例えば2020年7月1日取得、2025年6月1日売却(4年11か月)と2025年8月1日売却(5年1か月)は、いずれも2025年1月1日時点で5年以下なので短期です。同じ取得日で2026年に売却すれば、その年の1月1日時点で5年を超えて長期となります。

2026年の一般的な税率は、所得税・復興特別所得税・住民税の合計で長期20.315%、短期39.63%です。税率を掛けるのは売却代金そのものではなく、建物の減価償却費相当額を反映した取得費・譲渡費用・適用可能な特別控除を差し引いた課税譲渡所得です。取得日と譲渡日、取得費、費用、特例の条件を確認してから税額と手取りを求めます。

出典:国税庁 長期譲渡所得 / 国税庁 短期譲渡所得

国税庁の土地建物の譲渡所得は、個人が売却する場合の所得税の取扱いです。ツールの「5年目まで/6年目以降」という簡易税率表示だけで、譲渡年1月1日時点の所有期間や適用可能な特例を確定しないでください。法人で購入する場合も、個人の土地建物の譲渡所得税率をそのまま適用しません。

購入を見送る条件も先に決める

基準ケースで黒字でも、空室・金利上昇・修繕が重なるケースで返済や運営資金を賄えないなら、自己資金を増やす、価格や融資条件を見直す、物件を見送るなどを比較します。売却の時期や価格を確約された収入として資金計画に入れないでください。候補比較には物件検索を使えますが、掲載条件と契約資料を別に確認します。

  • 目的の明確化:返済後税引前CF、税務所得、税引後CFを区別する。不足入力の税額・手取りは0円にせず算定不可とする。
  • 費用区分の確認:運営支出、元金、利息、償却費と税を分ける。利回りは分子・分母と含む費用を明示し、借入返済を混ぜない。
  • 条件変更:入居率・家賃増減率・金利・大規模修繕を変え、資金不足になる年と対応策を記録する。
  • 全体収支の確認:初期自己資金、保有中CF、売却手取りを集計し、最終年の売却手取りと元金返済の効果を二重計上しない。

入力が足りない項目は推測で埋めず、資料を揃えて再試算してください。CFシミュレーターは比較の補助であり、税額、融資、売却価格、将来利益を確定するものではありません。

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