投資用不動産の利回りは、計算に入れた収入・費用・購入費用によって変わります。広告の数字だけで購入を決めず、計算条件を揃えて比較しましょう。この記事は、表面利回りと費用控除後の利回りを区別し、返済後に残る現金まで確認するための手順をまとめます。

最初に利回りの分子と分母を確認する
表面利回りの一般的な計算例は「年間の想定賃料収入÷物件価格×100」です。満室を前提にするのか、現在の契約賃料を使うのか、共益費等を含むのかを広告・レントロールで確かめます。購入時の諸費用や管理費、修繕費、税金、空室はこの単純な式に入っていません。国土交通省の賃貸経営のシミュレーション資料も、表面利回りとNOI、実質利回り等を異なる指標として扱っています。
費用を引いた数字を同じ条件で比べる
比較用の一例として「年間賃料収入-運営費」を購入総額で割る方法があります。運営費に何を含めるか、購入総額に仲介手数料や登記費用等を含めるかを明示しないまま、異なる広告の「実質利回り」を横並びにはできません。管理委託費、修繕・設備交換、保険、固定資産税、入退去時費用などの見積書を集め、年ごとの発生時期も確認します。
たとえば物件価格2,000万円、年間の想定賃料200万円なら、表面利回りの単純計算は10%です。これは空室・運営費・購入諸費用・借入返済を除いた仮定値で、手取り10%を意味しません。費用や空室の見込みが未入手なら、実質利回りを確定値として掲載しないでください。
見積りに不確かな項目がある場合は、賃料を下げる、空室期間を延ばす、修繕費を増やすなど、条件を一つずつ変えます。「何%なら安全」という一律の基準を置かず、条件が悪化したときの返済余力を見ます。

利回りと返済後キャッシュフローを分ける
借入金の元本返済は、上の運営費控除後の指標とは別に確認します。年間賃料から空室・滞納、運営費、年間返済、将来の大規模修繕に備える資金を順に差し引き、手元資金が不足しないかを見ます。税務上の不動産所得も現金収支と同一ではありません。指標の基礎はキャッシュフローの記事、入力条件の見直しはシミュレーションの記事で詳しく扱います。 借入条件と返済可能性を比較する際は、投資用不動産ローンで確認する条件と返済可能性も参照してください。
高い数字の理由を物件資料で確認する
高い利回りだけで危険とも優良とも判断できません。賃料の実績と募集条件、空室期間、修繕履歴と見積り、管理組合資料、法令・再建築等の制約、売却時の流動性を個別に調べます。周辺の取引価格を参照する際は、国土交通省の不動産情報ライブラリを比較材料にできますが、公開データだけで対象物件の将来価格を保証するものではありません。
購入前の比較表に残す項目
物件ごとに、物件価格と購入諸費用、現契約賃料と募集賃料、空室・滞納の仮定、運営費、修繕、借入条件、返済後収支、売却費用を同じ期間で並べます。資料が欠ける項目は「未確認」と記し、楽観的な金額で埋めないでください。利回りは候補の絞り込みに使い、最終判断は返済余力と資金不足時の対応を含めて行います。